地形を愉しむ

地形散歩~地形の凸凹・スリバチを散歩で愉しむ~

水窪川の跡を辿る~池袋・音羽~

皆さん こんにちは

オリンピックも終わりましたが猛暑が続きますね。お元気ですか?

今回は、暗渠となってしまった水窪川の跡を辿りました。池袋から文京区音羽にかけて巡ってきましたので紹介します。

まずは、このエリアの地形の特徴からです。

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<地形図>カシミール3Dで作成 標高別に色分け:茶色(高い)⇔深緑(低い)

今回歩いたルートを赤線で示しています。池袋駅から江戸川橋駅まで歩いてきました。

 

<地形の特徴>

・中央の茶色の部分が護国寺が鎮座している台地です

・左下から右下にかけて神田川が流れています。緑色の部分が神田川が作った低地です

・中央上から左下に続く緑色の部分が小石川(谷端川)跡です

 

地形図のA-Bラインを下の断面図で見ると、中央部分の緑色の部分は水窪川と鶴巻川(次回ご紹介)が台地を削って出来た谷です。この谷は、音羽の谷とも呼ばれています。台地のとの標高差が15mほどあり、結構深い谷であることが分かりますね。

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ちなみに、Aの台地は関口台、Bの台地は小日向(こひなた)台と呼ばれているようです。

それでは、実際に行ってみましょう。街歩きスタートです。

池袋東口から美久仁(みくに)小路に向かいます。

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この辺りは昔、湿原で水窪川の源流部だったようです。奥に見えるサンシャインの高層ビルと大衆居酒屋・横丁の比較が面白いですね。

豊島岡女子学園の横、日出町公園の中を通って進んで行きます。その先のT字路は気をつけてくださいね。この先の道が分かりにくいです。

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串カツ田中の店舗の影に隠れて道が見えないのです。下見の際、間違って日出町第二公園の脇の道を進んでしまいました。正解は写真Y字路・右の道です。

蛇行した道を進んで行きます。川跡らしくなってきました。都電を横切ってさら進むと、道端に小さな広場(富士山広場)が現れました。

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ここに水窪川の碑(写真・中央右の黒い碑)があります。「昔、ここに小さな川が流れていた 後世にこれを伝える 1986年」と刻まれています。よく気を付けないと見過ごしてしまいそうなささやかな碑です。しばし、在りし日の水窪川に思いを馳せます。

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蛇行した裏路地が続きます。この先どんな風景が待っているのかワクワクします。プチ探検と言った感じです。

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Y字路です。川跡はもちろん左の細道に続いています。右奥にみえる坂道は開運坂です。坂道は空に続いているように見えます。運が開けそうな感じがします。

昔、この坂の上には柔道の創始者である嘉納治五郎先生の邸宅と柔道場があったそうです。この道場は開運坂道場(後の講道館)と呼ばれていたことから、開運坂と名付けられたそうです。

細道をどんどん進んで行きます。

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吹上稲荷神社の鳥居をくぐって、すぐに左の細道に入ってゆきます。神社に寄りたいと思いましたが、まだまだ先がないので、川跡らしい細道を進みます。

不忍通りにでたところで一旦、水窪川跡を離れて護国寺に向かいます。

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参道を登って護国寺にお参りします。五代将軍徳川綱吉公の生母・桂昌院の発願により建立されたようです。立派な建物ですね。少し境内を散策します。

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護国寺の隣にある豊島岡墓地の池(蛇池)です。護国寺の境内から見えました。崖下の湧水が溜まってできた池かもしれません。ここから流れ出した水が水窪川に合流していたようです。野鳥が気持ちよく日向ぼっこをしています。見ている私もほっこりしてきました。

護国寺を下って、再び水窪川を辿ってゆきます。

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小日向(こびなた)台の崖下まで進んできました。この辺りの崖はすごく高いですね。写真手前のマンホールから、この下に水窪川が流れていそうな雰囲気をヒシヒシと感じました。

更に進んで行くと、とうとう水窪川の跡をビルに塞がれてしまいました。ちょうど、イイ感じの坂があるので登って迂回します。

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鼠(ねずみ)坂です。音羽の谷から小日向(こびなた)の台地にむかって、一直線に伸びています。良い感じです。きつい傾斜が長く続くので、一気に登るのはあきらめ、休み休み登ってゆきました。森鴎外の小説「鼠坂」の舞台となった坂のようです。

上りきったら、鳩山会館の裏を通って、グルーっと回り込みこむ感じで鳩山会館の正面に向かいます。

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鳩山会館・入り口の坂を横から見ました。新しくコンクリートブロックで補修をされた部分が橋の跡ようにも見えます! とすると、橋の下には水窪川が流れていたはずです! 水窪川の痕跡をみつけめっちゃテンションが上がります。

足取りも軽く、水窪川の後を辿ってゆきます。

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崖下に水が湧き出ています。水量は少ないですが、とぎれなく湧き出しています。バケツにたまった水は、近所の人が植木に水やりとかに使っているのでしょうか。想像が膨らみます。

いよいよ水窪川もフィナーレを迎えます。

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暗渠となった水窪川が神田川に合流しました。水量は少ないですね。昔は、水窪川の水を使って紙すき(製紙)が行われていたことを思うと感慨深いですね。


今回は、ここまでになります。

皆さんも水窪川の跡をたどりながら、細道・裏路地を探検気分で愉しんでみてはいかがですか?

 

今回も以下の本を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。

・東京スリバチ地形散歩 都心新発見編(皆川典久・著/洋泉社

 

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