地形を愉しむ

地形散歩~地形の凸凹・スリバチを散歩で愉しむ~

三田用水と玉名川の跡をたどる~高輪台・白金台~

皆さん こんにちは

梅雨明け、夏本番ですね。日中歩くのが辛い時期に入ってきました。さて、今回は、江戸時代に活躍した三田用水跡と古川の支流・玉名川の跡をたどってきましたので、紹介します。

まずは、このエリアの地形の特徴からです。

f:id:vo1vo:20210715154035j:plain

<地形図>カシミール3Dで作成 標高別に色分け:茶色(高い)⇔深緑(低い)

今回歩いたルートを赤線で示しています。高輪台駅から白金台駅まで歩いてきました。

 

<地形の特徴>

・右の濃い緑色と灰色の境が昔の海岸線です(京浜東北線より右が海だったようです)

・中央上部に古川が流れています。濃い緑色の部分が古川が作った低地です

・中央の茶色が白金エリア(高級住宅街)です。お金持ちはやはり高台に住むのですね

 

それでは、実際に行ってみましょう。街歩きスタートです。

f:id:vo1vo:20210715153424j:plain

高輪台駅前です。手前の道沿いを流れていた三田用水は、目の前の左右を横切る桜田通りにぶつかったところで終わっていたそうです。ちょうど桜田通りの一番標高の高いところになります。

三田用水跡を上流に向かって進んできます。

f:id:vo1vo:20210715153437j:plain

平坦な道を少し言ったところで、Y字路にぶつかります。突端には、お地蔵様(元禄今里地蔵)が祭られているそうです。Y字路ってどっちに行こうか迷いますよね。今回は、三田用水が流れていた右側の道を行きます。

奥に向かってゆっくり下っていますね。軽快に進んで行きます。

f:id:vo1vo:20210715153447j:plain

下り切った所で三田用水路の遺構にぶつかります。中央やや左に樋が2つ見えています。この部分を水が流れていたんですね。この地点は窪地になっているので、水路を通すために、堤をつくったのが分かります。階段をゆっくり上って、用水の遺構をじっくり堪能しました。

次は、古川の支流である玉名川跡をたどります。白金幼稚園の坂を下ってゆきます。

f:id:vo1vo:20210719182031j:plain

一直線につづく心地よい坂です。海抜表示からも高台だと分かります。下りきった先一帯には、江戸時代に山内遠江守の下屋敷があったそうです。その敷地内にあった湧水池が玉名池(玉縄池)です。ここが玉名川の源流だそうです。

 坂道を下りきって、玉名川跡をたどっていきます。

f:id:vo1vo:20210715153513j:plain

明治学院前の道から西側への眺めです。写真・奥の横断歩道が通っていた辺りが一番低くなっているのが分かります。この横断歩道の部分を左から右に玉名川が流れていたそうです。右に行くと八芳園があり、玉名川は八芳園の池付近を流れ、清正公交差点付近を流れていたそうです。

f:id:vo1vo:20210715153525j:plain

明治学院大学記念館です。かつて図書館と校舎を兼ねていたそうです。建物のレンガと屋根の青、芝生の緑のコントラストが素晴らしいです。
桜田通りを横切り、二本榎通りに向かって坂を登ってゆきます。

f:id:vo1vo:20210715153535j:plain

二本榎通りにぶつかると、交差点には高輪消防署 二本榎出張所(左の建物)と高輪警察署(右の建物)が見えます。消防署は丸こく、警察署は角ばっていてコントラストが面白いですね。消防署の展望から景色を眺めてみたくなりました。多分、海が見えそうです。

 二本榎通りを北に進んで行きます。

f:id:vo1vo:20210715153546j:plain

通りの左側に人一人通れるかと言う細道を見つけました。もちろん細道に突入していきます。少し行くと下り階段が現れ、かなりの先まで続いています。どんどん降りてゆきます。

f:id:vo1vo:20210724111356j:plain

下りきった先には正満寺の墓地がありました。くぼ地になっていて、ここからも 玉名川の支流が流れ出していたようです。清正公交差点付近で、八芳園からの流れと合流していたそうです。この墓地ですが、遊歩道としてきれいに整備されているので暗さはありません。

この川跡をたどって、清正公交差点を通って古川に向かいます。

f:id:vo1vo:20210715153558j:plain

古川です。真上に首都高が通っているので、いつもはうす暗い感じです。歩いた日は天気が良かったので、太陽の光が差し込み比較的明るい感じでした。

ここからは、五の橋付近で古川流れ込んでいた支流跡(三光町支流)をたどってゆきます。

f:id:vo1vo:20210715153609j:plain

三光町支流跡をたどって住宅街の裏路地を進んで行きます。裏路地は、生活感があっていいですね。どんどん、進んで行きます。

f:id:vo1vo:20210715153621j:plain

だんだん、川跡らしくなってきました。良い感じのカーブです。白金の丘学園小学校の脇を進んで行きます。

サンタ・セシリア幼稚園の横まで言ったところで、路地は行き止まりでした。残念! 仕方がないので、一旦、白金の台地上へ迂回します。台地の高級住宅街を眺めながら進んで行きます。f:id:vo1vo:20210715153634j:plain

三光坂にぶつかりました。真っすぐに下り坂が続いていて、すかっとした気持ちになります。右側には、SEIKOの創業者・服部金太郎の大邸宅が見えます。現在、個人の所有により内部が非公開なのが残念です。

もう一度、三光町支流跡に接近を試みます。

f:id:vo1vo:20210715153644j:plain

三光町支流は奥に見える聖心女子学院のグラウンド脇を通ってたそうです。この先、流れは、東京大学医科学研究所の脇から白金4丁目の悪水溜の窪地にまで続いていたようです。今回は、ここまでになります。

皆さんも白金の高級住宅街の建物を散策しながら、川跡を愉しんでみてはいかがですか?

 

今回も以下の本を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。

・東京スリバチ地形散歩 路地大冒険編(皆川典久・著/洋泉社

・東京スリバチ地形散歩 新都市発見編(皆川典久・著/洋泉社